永井酒造さんで、じっくり酒蔵見学しました。
【群馬 酒蔵巡り】永井酒造で酒蔵見学をしてみた!〜前編〜 から続きまして、後編に突入です。
*ちょっと復習*
永井酒造さん(永井酒造株式会社)は、明治19年創業で代表銘柄は「水芭蕉」「谷川岳」。瓶内二次発酵「MIZUBASHO PURE」が話題。酒蔵見学は予約が必要です。沼田ICから車で約10分、伊香保からは約50分。
この床下に日本酒がたっくさん?!
酒蔵は工程順に設計されており3階では洗米・給水・蒸し、2階では麹を育て、1階にはもろみのタンクがあります。写真は1階にあるタンクを2階の覗き窓から確認している瞬間でっす!
このタンクに、お米と水と麹を3回に分けて注入するそう。一気に加えると酒母が薄まり(酵母が弱くなり)他の菌が繁殖しちゃうだって。じゃ、どんな感じに注入するの?って訳でまとめてみました。
もろみの様子
- 酒母
酒母とは酵母をたくさん培養したもの。全体の7%加える。 - 添 1日目
水+麹+蒸米を15% 加える。 - 踊り 2日目
添で酒母の約2倍の原料が加わり酵母が薄まるので、1日休ませてあげます。
酵母が増えてくるともろみの表面がプツプツ沸き、その姿はまるで踊っているみたい! - 仲(なかじこみ) 3日目
水+麹+蒸米を30% 加える - 留(とめじこみ) 4日目
水+麹+蒸米を48% 加える
もろみの工程でも、温度管理が徹底されていました。麹を育てる工程にもあった、工場外でも温度確認ができるシステムは永井酒造さん独自のもの。ハイテクー!
踊りと仕込みが終わったタンクを覗かせてもらいました。
踊のタンクにはシュワっとした泡が。仕込みが終わった6日目のタンクは、踊より更に水面がボコボコしていて何だか甘〜い香りが。これは米の溶けた甘さと酵母によるものだとか。
もう一つ、「ほぼ完成です」と見せてもらったタンクは、泡が落ちついてまろっとなめらかな印象。水をいれて発酵の調整をしていました。
ちなみにこのタンク、落ちたら危険!無酸素状態です〜。日本酒は解放発酵タンクなので、野生酵母に負けないように、酒母の段階で酵母を増やすそう。また、数で勝つ!的な感じで、制菌力の強い乳酸を加え雑菌に対抗するそう。
教えてもらいました!日本酒好きなら知っておきたい2点
- 日本酒度
糖分の比重のこと。酵母は糖分を食べて発酵します。発酵が進めば糖分が減り、辛くてアルコールが出てきます。 - 並行複発酵
日本酒は1つのタンクの中で2つの発酵形態が行われている。麹菌がお米を溶かす発酵と、溶けたお米を酵母が食べる発酵。
並行複発酵は日本酒だけの形式。バランスが難しく、どちらかが強すぎても弱すぎてもダメ。奈良時代から継承されている発酵技術というから驚き。すごい!日本!
積み上げられた斗瓶は何に使うの?
部屋の隅に綺麗に置かれた斗瓶が気になりました。これは品評会へ出品する製品に使うもの。斗瓶に原料を入れて、濁りを沈めてから上澄みだけを抽出することで、圧力をかけず自然の重力だけで仕上げる事ができるそう。私たちが行った時期(2月)だけ使うものだとか。
さらに、「あそこに夢のコンテナが!」と、イケメンのお兄さんが教えてくれたのが出品会に出す高級酒。20年熟成のビンテージが瓶で貯蔵されているとか。ひぇ〜!飲んでみたい!
酒造りの心臓部に潜入です!
酒蔵見学もフィナーレに突入いたしました。酒造りの心臓部にも、もちろん温度管理装置がありました。ここまでの工程を5人で担当しているというから驚き。それが出来る理由は、科学に基づいた酒造りがあるから。
永井酒造さんはもろみサンプルを毎日採取して、温度・日本酒度・甘さ・辛さ・アルコール度・酸度・アミノ酸度などを分析しているそう。理想の数値(酒)に近づけるために、分析データに基づいて温度や水などの調整をします。
写真は出荷した製品の評価場所。利き酒による品質管理で、お客様からの要望へ対応できる体制を整えているんだって。すごい数だよ〜!
酒造りの神様「松尾皇大神」
ふと見上げると神棚が。酒造りの神様 松尾皇大神が祀られていました。永井酒造さんでは年に2回、酒造りの始まり(8月)と終わり(5月)に保有している山にある川で清めてくるそうです。そして酒蔵に戻り、松尾皇大神に祈願するそう。美味しい酒の源、自然への感謝を忘れない造り手の思いにグッときました。
世界への挑戦!Nagai Style(ナガイスタイル)
蔵見学は一先ず終了。併設されている蔵カフェや新古館(ショップ)が待ち遠しい。「水芭蕉」「谷川岳」自然美を想像させるブランドを、この舌で確かめなくちゃ。頭と舌はしっかりナガイスタイル!ナガイモード!(蔵カフェや新古館については 【群馬 カフェ】酒蔵を改装した蔵カフェに行ってみた を見てね!)
そんな中やっと出会いました。日本酒ファンに話題の瓶内二次発酵「MIZUBASHO PURE」。高級レストランや海外のお客さんにも人気なんだって。
「瓶内での発酵の圧力が高すぎても低すぎてもだめ。ちょうど良いバランスに辿り着くのにとても苦労しました。」と、語ってくれました。瓶内二次発酵という独自製法(特許取得)は、一次発酵した酒を、瓶内で二次発酵させるシャンパンと同じ製法。10年の月日を経て製品化。お値段は高級だけど、飲んでみたい!
永井酒造さん、ありがとうございました!
そんなわけで。伊香ほっとの初酒蔵!だったもんでアレもコレも前のめりに聞いてしまいました。気になる方は、永井酒造さんへ酒蔵見学に行ってみてくださいね。
「永井酒造」について
施設情報 ■〒378-0115 群馬県利根郡川場村門前713 |